メソポタミア出土粘土板



粘土板に対する非破壊調査

メソポタミア出土の楔形粘土板に対して、携帯型蛍光X線分析装置を用いた非破壊化学組成分析や携帯型帯磁率計を用いた帯磁率測定などを行なうことにより、粘土板を構成する土の起源等を明らかにすることを目的として調査を行っています。この研究は、大阪学院大学の渡辺千香子准教授との共同研究として行ってます。
                    

2012年度までは、アメリカのエール大学のフォスター教授の協力の下、エール大学の図書館に収蔵されているバビロニア・コレクションの粘土板に対して調査を行ってきました。
                       


これまではチグリス・ユーフラテス川沿いの14地域を起源とする粘土板を中心に調査を行ってきましたが、2013年には調査対象地域を拡げ、英国の大英博物館、イラクのスレイマニア博物館に収蔵されている粘土板に対して調査を行いました。その結果、イラクからトルコにかけて出土した粘土板の化学組成における地域差を明らかにすることができました。

また、粘土板の表面に黒いシミ状のものが付着していることが良くありますが、これはマンガン酸化物が濃集したものであり、このマンガの濃集にはマンガン酸化バクテリアが関与していることが明らかになりました。